堅苦しくなく、楽しく
2019年に創設された、横浜市立東高等学校の「サステイナブル研究部(以下、サス研)」。「地球にちょっといいこと」を合言葉に活動を続けている。部長の木須裕人さんは、現在2年生。はじめは軽い気持ちで入部した一人だが、現在は頼れる部長として12名の部員とともに活動している。
自転車型の体力発電機をこいで発電したり、生徒から集めた古着をワクチンに変えて途上国に届ける「古着deワクチン」、いじめ反対を示す「ピンクTシャツ運動」……。先輩が築いてきたさまざまな活動の中から、部員は学びを深めていく。「まじめではあるけれど、堅苦しくないので、楽しい」と木須さん。「古着deワクチン」では、集まった古着やランドセルなどをみんなで身に着け、大笑いしながら手を動かすうちに、袋がいっぱいになった。サス研には常に部員の笑顔がはじけている。
部活の形を生かし、考えながら前へ
地域の商店街や企業とのコラボなど、最近は大人と関わることも多い。「高校生が部活として取り組んでいるのが珍しいのかも。一人では限界があることも、部活という形のおかげで大人の協力を得やすくなった」と木須さんは分析する。企業との取り組みでは大きくメディアに取り上げられ、多くの人に活動を知ってもらうきっかけにもなった。
しかし、普段のサス研は話し合いや交流など、自由な時間が流れる部活。スケジュール管理の難しさや、進める先々で生まれる問題に悩むこともあるという。ゴミ集めをすれば、そのゴミをどうするのか。ゲームをつくれば、字を読めない小さい子はどうするのか。一つの課題を解決しようとしても別の課題に突き当たる。その度に考え、軌道修正しながら、実直に前へ進んでいる。
木須さんは最近、家族のSDGsへの関心が高まったと感じている。校内の認知も上がったが、周りにはまだ関心が低い人、誤解している人がいる。サス研のいろいろな試みから興味を持ってもらえれば、と木須さんは期待している。
「関心を持つだけだって、行動の一つ。そして、やってみたことをぜひ人に話してほしいと思います」